反物質の反対の反対

 

 


反物質は質量、スピンが全く同じで、構成する素粒子の電荷などが
全く逆の性質を持つ物質である。反粒子によって構成される物質とも言える。
例えば電子はマイナスの電荷を持つが陽電子はプラスの電荷を持つ。

物質と反物質が出会うと対消滅を起こし、質量が全てエネルギーとになる。
この発生するエネルギー量は、1gの対消滅反応は10の14乗ジュール
TNT火薬に換算して27キロトン分の爆発エネルギーに相当すると云われる。
(そんな規模の対消滅なんてだれもやったことないていうか未だ出来ません)

というのが辞書的な説明だが、なんかまだわかりにくい気がするな。

そもそも物質ってのはいろんな素粒子からなるんだが、その基本構成要素
として原子があるわけだ。

原子ってのは電子と原子核からなるわけだけど、原子核には+の電荷が
電子には−の電荷があり、その電荷はつりあいがとれている。
つまり基本的には原子の電荷は原子全体としてはほぼ中性といっていい。

その原子の構成要素には陽子と中性子があるが、うち中性子はその名前の
通り電荷は中性である。逆に陽子は電子と同等の+の電荷をもつ。
電子の電荷と陽子の電荷の大きさは同じといっていい。

物質の性質は究極的には陽子の数、電子の数で決まっている。
中性子の数もかかわっているわけではあるけれども。
これらの素粒子もこれより小さいサイズの素粒子からなるけど、
そこはまあ今回は割愛したい。

陽電子や反物質の存在について初めて言及したのはディラックである。
彼は相対性理論を考慮してシュレーディンガー方程式を整理した。
この方程式では、時間と空間が数学的に別々にあつかわれていたの
電子が光速度近くで動く場合にも式が成立するようにした。
これがディラック方程式である。

ところがこのディラック方程式を解くとおかしなことがわかった。
1つの方程式から同時に4つの独立な、2つの正と2つの負の解が得られてしまった。
これらの解のエネルギーの絶対値は一緒で、エネルギーの向きだけが違う解が。

平たく言うと例えば電子って存在があるとして、その電子と同じ
エネルギーを持つ反対の存在、反電子(言うならば陽電子)ってものが存在する
というわけだ。
さらに電荷に関するもの以外(質量)もあるわけだがそれも割愛で。

最初はディラック自体も信じていなかったが、どう考えても答えが
こうなってしまう。とうとう彼は反電子の存在を信じることにした。
そして1932年、アンダーソンが地球に降り注ぐ宇宙線の中に陽電子を
発見したのだった。

ここで1つの疑問が生まれる。じゃあ陽電子はどこからきたのか。
普通には存在しない陽電子だが、ガンマ線照射などをして真空のある一点に
大きなエネルギーを集中させると、電子と陽電子が出現する。
これを対生成(ついせいせい)という。

そのままほっとくと、電子と陽電子はポジトロニウムという状態になり
対を成してぐるぐる回り、準安定状態になる。
しばらくすると対消滅してガンマ線を出す。
量子力学的には真空は空っぽではなく、電子と陽電子の生成と消滅を
繰り返している状態だといえる。

そんなわけで陽電子は簡単に作れるが、反物質、例えば反水素を
つくるとなると話は俄然困難になる。
まず反陽子をつくらねばいけない。アンダーソンの発見から30年後
反陽子は発見された。しかし作り出した反電子と反陽子はあちこち
飛んでって水素原子にすらならなかった。

1996年になってようやくCERNの大規模サイクロトロンを用いて数万個の
反水素を作り出すことが可能になった。
低速な状態で反陽子を作り出す、トラップする。
つい最近でさえわずか5万個の水素原子しか作れてないし。

ところで反水素が出来る以上、反物質世界ってのもありえないとは
いいきれない(この宇宙以外の宇宙ではだが、多分)が、もしわれわれが
反物質で構成された世界に行ったら
どうなるだろうか?

まず息が出来ない。息吸い込んだら反物質だらけ。呼吸したら対消滅
体表や服でも対消滅が起こりものすごいエネルギーを発生させる。
ほとんど地上に太陽が出現したような状態になる。ほぼ一瞬で体表の熱で死ぬ。
死んだ後も身体を構成する物質が対消滅していく。
熱は外側と内側に達し外は凄いことになる。核の直撃と同じ、いやそれ以上の状態。
体重60kgの人間で3240メガトンの破壊力。あ、でも地球は壊れないような

くれぐれも自殺目的で反物質世界には行かないように。
一瞬で死ねるのはいいけど、いい迷惑。

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